認知療法の技法(2)思考と事実を区別する
今回は、思考と事実を区別するための技法を紹介します。
私たちは怒ったり落ち込んだりすると、自分の考えを事実そのものだと思い込んでしまいがちです。どれほど正しく感じられても、思考はあくまで「仮説」「解釈」「予測」にすぎません。しかし悩んでいる最中には、そのことに気づきにくくなります。
そこで役に立つのが、ABC技法と呼ばれる方法です。この技法を使うことで「思考」「感情」「事実」を区別でき、どのようにして特定の反応が生まれているかを整理することができます。
ABCとは以下の3つを指します。
A(Activating Event):きっかけとなる出来事
B(Belief):その出来事に対する信念・考え方
C(Consequence):結果として生じる感情・行動
やり方は紙に4つの欄を作り、
「A=出来事」
「B=信念(考え)」
「C=結果としての気分・感情」
「C=結果としての行動」
を書き分けて整理します。
たとえば以下のようになります。
A:窓がガタガタ音を立てている
B:誰かが押し入ろうとしている
C(感情):不安
C(行動):戸締まりをして警察を呼ぶ
このように、出来事→解釈→結果(感情・行動)という流れを書き出すことで、自分がどのような認知の癖に影響されているのか、客観的に気づくことができるようになります。
